鉋の使い方-刃の出し方や逆目の対処法も紹介!-
今回は、鉋(かんな)の使い方についてご紹介します!
鉋は、家具製作をする職人さん方が必ず持っている道具で、扱い方が難しく奥が深い道具でもあります。
私も自分のミニ鉋を買い、工場長に使い方を教わった際に、刃の出し方や削り方・扱い方など想像とは大きく違いとても面白かったので是非最後までご覧いただきたいです!
✓目次
鉋(かんな)とは?
● 鉋の種類
● 鉋の用途
鉋の使い方
● 各部の名称
● 刃の出し方
● 削り方
刃の角度について
● 仕込み勾配の呼び方
鉋が引っかかってしまったら?(逆目の対処法)
● 逆目とは
● 逆目が出た場合の削り方
まとめ
鉋(かんな)とは?
鉋とは、木材の表面を、平面や曲面に削る道具です。
種類も様々で、用途や形状、大きさによって鉋の種類が変わります。
刃の角度や刃を何ミリ出すか、台の下端を用途に合わせて修正削りを行うなど、扱いが難しく奥の深い道具です。
鉋の歴史は、槍鉋と呼ばれるものが世界最古の鉋と言われており弥生時代から使用されていました。
現在の台鉋の形状になったのは、室町時代からと言われています。
● 鉋の種類
・平鉋 一般的に、大工さんが使用しているのが平鉋です。台が平らで、平面を削るのに使用されます。
・長台鉋 台が40㎝前後と長い鉋が、長台鉋です。繋ぎ合わせ面や直線削りに使用されます。
・台直し鉋 鉋台の修正に使用される鉋です。
・際鉋 刃が斜めになっており、台の下端の端まで刃先が出るので、入隅の際や段欠き加工(木材の木口に段差をつける加工)などを行えます。
・溝鉋 引き戸の溝やガラスの溝など、溝を掘る為の鉋です。
● 鉋の用途
鉋は、用途に合わせて様々な種類の鉋が使用されます。
今回は、自社工場でよく使用される平鉋の用途をご紹介します。
工場では、主に4つの用途で使用されます。
・組み上げた部材の目違いを払う
縦横で部材を組み上げ、少し出っ張ってしまった部分を鉋で削り、面を合わせます。
・木端を整える
昇降盤で木材をカットし、木材の木口に昇降盤の刃の跡がついてしまったのを、鉋で削って整えます。
紙やすりでやするより楽に綺麗に削れます!
・面取り
木材の角を鉋で削り、角を綺麗に仕上げます。
・天板の目地を払う
天板を木材2枚でジョイント(繋げること)して製作する際のジョイント部分を鉋で整えます。
その上からメラミンを貼り仕上げます!
鉋の使い方
● 各部の名称
● 刃の出し方
鉋の刃の出し方は、刃頭をげんのうなどで叩くと刃が出てきます。
逆に刃をしまいたい(刃を抜く)ときは、鉋台の台頭を叩くと刃が閉まります。
刃は、鉋の下端から1㎜程(髪の毛1本分くらい)出ている状態が良いと言われています。
● 削り方
左手は、台頭と刃頭を引きながら押さえます。
右手は台上端の真ん中を押さえながら引きます。
鉋は、まっすぐに引いて削ります。
刃の角度について
鉋の刃の角度は、削るものによって変わります。
刃の角度の名称は、鉋台の下端からの角度によって変わります。
● 仕込み勾配の呼び方
・5分(約27度)ー寄木単板削用
・6分(約31度)ー木口削用
・7分(約35度)ー桐、軟材、木口用
・8分(約39度)ー針葉樹(建具・建築)
・9分(約42度)ー広葉樹(家具)
・1寸(45度)ー硬材用(唐木)
8分までが大工さんの角度、9分から家具屋さんの角度と言われています!
鉋が引っかかってしまったら?(逆目の対処法)
鉋で削っている際に、引っかかってうまく削れない場合があります。
その場合は、逆目に鉋をかけているかもしれません。
逆目の状態で削ってしまうと、引っかかり綺麗に削れません。
● 逆目とは?
木材には、順目(ならいめ)と逆目(さかめ)があります。
順目は、繊維に倣うように進んでいく向きを順目といいます。
鉋は、順目の向きで削ります。
逆目は、順目の逆方向の向きで、鉋で削ると刃物が木の繊維に食い込んで引っかかる向きのことを言います。
● 逆目が出た場合の削り方
一番簡単な方法としては、木材の向きを逆にして順目にして削る方法です。
逆目で削ると引っかかって綺麗な表面にならず、荒っぽくなってしまうので、順目から削ります。
その他の方法としては、以下の方法等があります!
・裏金(二枚刃鉋についている刃)を使用する
・切削角(鉋の刃の角度)を大きくする
・刃の出を少なくする
・切れ味の良い刃を使う
・刃口の小さい鉋台を使う
まとめ
鉋の使用をマスターするには、刃の出し方・角度・鉋台の台直し・木材の向き・鉋の種類・鉋のお手入れ など沢山の知識が必要であり、見た目以上に歴史も奥も深く、扱うのが難しい道具でした。
鉋の扱い方を教わったり調べてみると、職人技のようでとても面白かったです!
また、工場の職人さんは自分の鉋を持っており、皆さん自分の使いやすい鉋にお手入れをしています。思い入れのある鉋を持っている職人さんもいます!
鉋の、古い物やずっと使っているものなどを「お手入れして長く大事に使う」という考え方もとても素敵で、もっと鉋のかっこよさを皆さんに知って頂きたいと思いました!
執筆者:近藤(オフィスSOYAMA広報担当)
2022年入社。会社のHP・SNSを更新しながら現場管理や家具製作の勉強をしています!
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